1/3ページ目 カツ、カツ…と、真夜中の静まり返った城内にブーツの音が響く。 スィルト城の地下にある図書室へ向かう足音だ。 壁際に細く造られた螺旋階段を、一列に並び落ちないようにと足元に注意を払いながら下りる少年達がいた。 「…落ちるなよ」 「っわわ…!」 「危ない!」 言ったそばからグラリとバランスを崩し、よろけたのはベルだった。 その後ろを歩いていたマリンに支えられ九死に一生を得たものの、先頭を歩くダークからの目は冷たい。 「ごめーん…」 謝ってはみるものの冷たく一瞥しただけでスタスタと歩き出してしまったダークに、ベルは気まずそうに頭を掻く。 「それにしても、」 列の一番後ろからリオンが呟く。 「時空を超える魔法なんて本当にあんのかァ?」 聞いたこともねぇ、とリオンは続けた。 その言葉に、リオンの前を歩いていたエリウッドが足を止める。 「さぁ…オレも初耳だけど、ダークが言うんなら本当なんじゃない?」 そういうもんか?と反論したリオンに、「無駄口を叩くな、見つかるだろう」とダークからの厳しい言葉が飛ぶ。 『時空を超える魔法』 今何故少年達がそれを必要としているのか。 それは、この日の昼頃のこと。 ---------- 「変な夢?」 ダークが聞き返した。 他の少年達も昼食を頬張るのをやめて、ベルに注目している。 「うん。なんか、20年前の勇者とか、未来とか、助けてとか」 「確かに不思議な夢ですね…誰かからの救難信号?」 「…なのかな」 今朝見た夢を思い出しながら断片的に言われた言葉を答えるベルに、リルがサンドイッチをかじる手を止めたまま問う。 ベルは頷いた。 「とにかく不思議な夢だった」 「でも夢は夢じゃない。少し変わってはいるけどね」 「…兄さん」 ベルの言葉に、マリンがサンドイッチを咀嚼しながら興味なさげに返す。 リルが呆れたようにマリンを横目で見た。 「うーん、でもただの夢だとは思えないっていうか、なんていうか…」 「確かに気になるな」 意外にもベルの言葉に肯定したのは、ダークだった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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