【朱いビー玉と赤い彼女のお話】
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【髪の短いひとりの少女が居ました】


【そのひとりの少女はいろいろな所を歩いていました】


【歩いていたら、白い白い人に逢いました】


【その少女はその白い人から目が離せませんでした】


【声を掛けようと近くに寄ろうとしたら白い人はどこかへ歩いていきました】


【追いかけようと、少女は走りました】


【ですが、走っても走っても追いつきませんでした】


【悲しくなった少女はもと来た道へ戻りました】


【てくてく悲しみに暮れながら歩いていたら、白い白い人が立っていた所に朱いビー玉が落ちてました】


【少女はその朱いビー玉を拾い上げました】


【すると体のなかから温かい陽気に包まれた様な、気持ちいい気分になりました】


【少女はそれから朱いビー玉をずっと持っている事にしました】


【不思議な事に朱いビー玉を持ちながら白い人の事を考えると体がぽかぽかしました】


【なので、持ち歩いているときは何時も白い人の事を考えていました】


【少女の気分が温かくなるにつれて朱いビー玉も少しずつ、少しずつ大きくなっていました】


【大きくなっていくビー玉を少女は少しも気にしないで白い人の事だけを考えていました】


【楽しかったのです】


【白い人の事を考えたり、想っていることが】


【可愛くなろうと、努力するのが楽しかったのです】


【想いを日々考えるに連れ、ビー玉も日々大きくなっていきました】


【手の平サイズの小さいビー玉は今では風船ぐらいの大きさになりました】


【少女は両手で支えなくては落ちてしまう大きさです】


【すると、彼女は不安になりました】


【ビー玉が…白い人のビー玉が支えられなくなったらどうしようか、と】


【朱い朱いビー玉は白い人の事を考えるだけでも大きくなります】


【どんどん大きくなります】


【彼女は思いました】


【こんなにいっぱい想っているのに何で、私の所に来てくれないんだろう】


【これは貴方のビー玉でしょ?】


【だから早くここに来て、コレから解放させて】


【想っているだけじゃ辛すぎるの】


【…そう思いました】


【彼女は少しずつ大きくなるビー玉を支えられなくなり、その場にうずくまりました】


【大玉転がしに使うくらいの大きさになったビー玉は触れているだけで哀しくなりました】


【手の平に乗るくらいの小さなビー玉の時は温かくて好きだったのに、今ではただ辛く哀しいだけです】


【それでも彼女はビー玉から離れようとはしませんでした】


【離れてしまえば白い人には逢えないと思ったからです】


【この朱いビー玉を探してここに来てくれると、会いに来てくれると思っていたからです】


【彼女はそのためなら、自分が辛くても苦しくても哀しくても…立ち向かおうと、ずっとこの想いを温めていようと】


【決意していました】


【彼女は伝えたかったんです】


【白い人の想いを伝えたかったんです】


【顔も見ていない、後ろ姿だけを見ていた彼女は】


【この日々大きくなる想いを言いたかった】


【どこにいるかも判らず、ただ重くなってしまった朱いビー玉の想いを白い人に伝えたかった】


【歩きたかった】


【走りたかった】


【そして追い掛けたかった】


【そしてこの想いを伝えたかったんです】


【白い人はこの大きくなってしまった朱いビー玉を見て拒絶してしまうんでしょうか】


【白い人はこの大きくなってしまった朱いビー玉を見ても受け入れてもらえるんでしょうか】


【ですが、それは白い人を見つけなくては何もはじまりません】


【朱いビー玉ばかりを見ていた彼女は、ビー玉から映る自分の姿を見て驚きました】


【髪がいつの間にか長くなっていたのです】


【彼女は自分のオレンジと赤色が混じった明るい髪がお気に入りでした】


【その髪がいつの間にか長くなって彼女は思い知りました】


【こんなに永い間まっていても、白い人はここには来ない】


【忘れているのかと】


【彼女の綺麗な瞳から透明な雫が一つ二つと地面に落ちていきました】


【その雫がとまることはありません】


【とまれ、とまれと思っても流れる雫】


【彼女の瞳は潤んでしまい前を見てもぼやけるばかり】


【彼女は体育座りをして顔をうずくめます】


【背中には朱いビー玉】



【目の前は彼女が作った暗く狭い空間】


【歩くことを止め】


【前を見ることを止め】


【ただ朱いビー玉があるだけ】

【小さかった頃は楽しかったのに、大きくなるに連れて哀しくなる】


【彼女は声を殺して透明な雫を流し続けてました】


【彼女が暗く狭い空間入っていたら誰かの手が彼女の頭に触れました】


【その手は何故か彼女の知っている温もりでした】


【顔を上げないで、彼女は静かに頭を撫でられる行為を受け入れていました】


【すると彼女の頭を撫でている人が口をあけました】


【《何を泣いているのだ?》】


【《抱え込まないで、俺様が居る》】


【《居てあげるのだ》】


【《だから少しずつでいいから、その想いを俺様にも聞かせて》】


【《心を開くのだ》】


【そう言ってその人は彼女の頭を撫で続けました】


【それでも彼女は声を殺して何も言いません】


【その人は言いました】


【《安心して、俺様は○○○ちゃんを裏切らないから…閉じこもる必要はないのだ》】


【《そんなに抱え込んでたらいつか○○○ちゃんが潰れちゃうから》】


【《そんな○○○ちゃんはみなくないのだ》】


【《…辛いよね、怖いよね、不安だよね、この大きくなってしまった想いを抱えるのは…悲しいよね》】


【《だから俺様は○○○ちゃんの話を聞くよ》】


【その人の言葉を聞くと不思議と安堵感が胸一杯に広がります】


【彼女はその人の顔が気になり少しずつ、少しずつ顔を上げました】


【顔をあげたあとその人の顔が見えました】


【その顔はいつもいつも彼女の側にいるあの人でした】


【あの人は言いました】


【《こんな大きいモノを抱えてたら歩けないだろ?だから俺様も抱えるよ》】


【《それなら立ち止まらないで、前を見て進めるのだ》】


【彼女のはあの人に抱きつきました】


【あの人は彼女を受け入れました】


【彼女は子供の様にわんわん泣きました】


【朱いビー玉を背に、彼女はあの人にすがりつきました】


【あの人は言います】


【《長い間一人で抱え込んで良く頑張ったね》】


【《大丈夫、もう一人じゃないから》】


【《俺様が居るのだ、想いは伝わる》】


【《だからもう泣かないで、笑うのだ》】


【あの人はへらへら笑います】


【彼女は流れる雫を拭いました】


【雫を拭い終わった彼女は言いました】


【あの人にしか聞こえない声で言いました】


【あの人は彼女が喋ったあと幸せそうな笑みをして言いました】


【《俺様は○○○ちゃんの味方なのだ!》】


【あの人は朱いビー玉を持ち上げ、前に前にと進んでいきました】


【彼女もあの人に遅れをとらないように進んでいきました】


【目指すは白い人のもとへ】


【想いを放つ為に、想いを抱える為に、あの人の約束を護る為に、笑える為に】





【《さぁ行くわよ》】








(あんたが居てくれたお陰でここまで行けるんだもの。)


(何処へだっていけるわよ)


(だからありがとう、ありがとうね)


















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