1/2ページ目 キレネンコさん、ネンコさん、きーさん、きれさん…他に何て呼び名があったかな? 『煩い………黙れ。』 あ!喋ってくれた〜!こんにちは!会話をしてくれたのは初めてだよね〜 俺はプーチン、訳あってここに居るんだけど…未だに何で死刑囚と同室なのか疑問なんだぁ 『訳が無かったら…こんな馬鹿げた所に閉じ込められる筈ない、だろ…』 それもそっか 正論だから何も言えないや じゃあキレさんはどういう訳で死刑囚になったの?どれくらい酷い事をしたの?教えてよ、この先きっとキレさんと長く一緒に居ると思うから 『喋るな…耳に響く…煩い…。…この先、ずっと…?…何故だ?…』 そんな直感がするんだよ 俺意外に直感力あるんだから …だから、今は数ヶ月一緒に居るだけだけど…きっとキレさんの事、解る日が来るよ あと俺…ね、キレさんが好きだよ 格好いいし、クールだし、尋常じゃないほど強くって…時々、優しくて… あっ…勘違いしないでほしいのが、友達として好きって意味だから 恋愛とかじゃないからさ 『何、気持ち悪い事を言ってる…黙れと言ってるのに何故黙らない。脳味噌入ってないのか……』 脳味噌はちゃんと入ってる 今はちょっと黙りたくないだけ だってキレさんが声を発しているから…怒られても、罵られても、馬鹿にされても…俺は喋るよ 俺の声がちゃんとキレさんに聞こえてるうちに、話がしたいんだ 『…俺は、そうは思わない。…お前、気持ち悪い奴だな』 けど、ちゃんと話を…俺の話を聞いてくれてる… だからやっぱり、今しかないと思うんだ 『…何がだ……』 キレさん、キレさん… 『…何だよ…』 俺…ね、本当にキレさんについていきたいんだ だから、気付いてほしい…キレさん…何で、気付かないの? 『…何にだ…』 自分の姿をよく、見てほしい…そしたらきっとわかるよ 『……――!』 俺はさ、キレさんの朱い髪が好きだよ…。けど…他の人の髪が朱く変わるのは…大嫌いなんだ 。 ねぇ、キレさん…その両手で抱えてる金髪だった人は…… 『…?…』 一体誰だったか…ちゃんと覚えてる? 「キレさーーん!キレさん!起きてよー!」 「……ん………?…」 目を開ければ、間抜けな顔。 こいつが何か言っているが聞き流し、今見た夢を思い出す。 「も〜…聞いてる?キレさん?」 「…聞いてない。」 「ぶぅ〜ひどいなぁ。じゃあ何の夢を見てたの?」 「…夢?」 こいつは少し笑いながら、俺の髪を触る。こいつはよく俺の髪を触るが、触ったところで何になるんだ? 「うん。普通に見てたらただ寝てるだけだと思うけど、違うでしょ?あ、俺ってこう見えて直感力あるんだよ。」 「………夢で聞いた。」 「え?」 「何でもない。」 「そう。……ごめんね。寝てたのに、叩き起こしちゃって。」 「別にいい。興味ない。」 こいつなんか興味ないのに、何時も、何処でも俺についていこうとする。意味は無いと言うのに。それでも笑う理由が理解できない。 其れなのに、俺がこいつに口を開く理由も俺自信、理解できない。 「……夢は見た。」 「幸せな夢?」 「知らん。ただ、お前がいて、俺は金髪だった髪の男を両手で抱え込んでいた。」 「金髪だった?」 「金髪が血で濡れてただけ。それだけだ。」 そう考えると、何故俺は金髪の男を大事に抱え込んでたんだ? こいつは目を見開いて、驚いている…あぁ、この表情は良く知っている懐かしい顔だ。そしてすぐ俯き苦笑した。 「それは…誰?」 「名前は知らん。ただ金髪だった。」 「…そっか。」 「……ただ、」 「ただ?」 「あの男の髪が、好きだった。綺麗に光っていた…。其れが、赤く濁っていたのが少し…嫌だった。」 「…それは残念だったね…辛い?」 苦笑したまま、こいつは俺の髪を撫で続ける。 「そんなのは感じない。」 「…俺、ね。キレさんの髪…好きなんだぁ。綺麗で、遠くから見ても直ぐ判る赤々とした…朱い髪。」 「…?」 「だけど、血に濡れた髪は…嫌いだよ。」 「夢で聞いた。」 「え?」 「何でもない。」 「そう。……うん、じゃあここを離れよう?ミリッツァが来ちゃうから」 髪を撫で続けるのを止め、こいつは立ち上がり車の方へと向かう。 「……。」 俺も続いて立ち上がり、車の方へと歩いた。 「キレさん。」 こいつは俺の方へと体は向けないで話す。 「その、金髪だった人の名前…きっとキレさんなら覚えてる筈だから、俺は何も言わないよ。」 「?」 「けど、これだけは教えてあげる。その子はキレさんの事、誰よりも理解したかったんだ。」 「…そうか。」 こいつと俺は車に乗る。後ろ側の席で俺はお気に入りの雑誌を読む。 そこでふと、考える。 「じゃあ、出発するね〜。」 「…。」 金髪だった男は今、何をしているんだろうか…? 「…それは、俺には関係無い…事。」 「何か言った?」 「関係無い。」 「は〜い。」 繰り返し繰り返し、同じ事を考える。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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