1/2ページ目 ここは街の大通り。 人が行き来して賑わって少々、ウルサいくらいだ。 俺はそんなウルサい奴等から避けるように、街の壁側を歩く。 今日降るであろう雪を楽しみにしている子どもたち。 仕事帰りの大人たち。 恋人や友だちと戯れながら歩いてる奴ら。 色々な生き方をしている奴らを見ると、やっぱり俺たちは違うんだと認識してしまう。 別に、それを思ったところでああいう生き方をしたいとは思ったことはない。多分。 そんなどうでもいい事を考えながら歩いていると、あるポスターに目がいった。 俺の歩みが止まった。 「…平和」 そう、平和、とでかでかと書かれている…ポスター どこにでも有るごく普通で一般的なポスター。 それを見ていると笑いがこみ上げてきた。むしろ吹いてしまった。 「ぶふっ…くははッ!アハハハハ!」 俺が突然笑い出したせいか、周りの奴らはこちらを怪しそうに見る。 見た後は俺の周りには人は通らない。通ったとしても離れている。 離れろ離れろ。邪魔だったんだ。逆に嬉しいね 。ありがと。 笑いがちょっと収まったら、そのポスターを思い切り引きちぎる。 バリリッと壁に張り付いてあった紙を破る。 「……馬鹿か?」 壁にまだ少し張り付いているからそれも乱暴に剥がす。 「こんなもの書かなくてもなぁ、世界はへーわなんだよ。」 俺の手から引きちぎったポスターだった紙屑が落ちる。 「当たり前に、平和はあるんだ。判るか?何にもしてなくて、争いなんてないものがお前らの求めてる平和なんだよな?」 誰に言ってるかは知らない。ただあのポスターが張ってあった所を見て言う。 俺の周りには人は通らない。 「こんな馬鹿みたいなもの書かなくても黙っているだけで、平和」 「あぁ、間違えた。黙っていれば、平和か」 また笑いがこみ上げてくる 「だけど馬鹿だよなぁ…アハハッ!黙る事は出来ないんだからさー!」 俺はポスターがあった所に触れ、ポツリと言う。 「勿論、俺も♪」 触れた壁の冷たさに手が冷えていく。体温が奪われる。 「生きているもの、動いているもの、自然界だってそうだ」 「黙ることは出来ない」 出来るとしたら…出来るとしてもそれは、お前らの求めていた平和とは限らないけどなー。 けど今よりかは『平和』だろう。 「人は競い合いながら、尊敬しあいながら、目標を持って自分の道を騒いで動いていくんだ。」 こんな事を言ってもなんにもならない。 俺を異常者のように見ながら道をあける奴らに言ったって意味がない。 「…騒がずに、だけど己を主張しながら…そんな事が出来る奴は、ほんの一握りだ。いや、いないかもしれない。」 壁に触れている両手を思い切り握る。 頭の方が冷たいと思い、空を見上げれば雪が降っていた。 遠くの方から子ども達の歓喜の笑い声。 毎年毎年繰り返しくる雪になんでこんなにも喜べるんだ? あぁ寒い寒い。 「寒い、寒いよ。キレにぃ。キレ兄ぃ。」 顔を上げて降り落ちてくる雪を見てやっぱり黙ることは…動きを止めることは無理だと思った 「ねぇ、キレ兄ぃは今何処にいる?俺と同じで誰かに生かされてるんでしょ?」 だけど願ってしまうんだ。黙った世界をみたいと。誰もが平和になっている世界。 俺はそんなのは願わない。 だって 「俺はそれを壊す役目。けどこれも歴とした人を黙らす行動だ。だって馬鹿みたいな考えの連中が沢山いる。そいつらを黙らす行動をやってる俺って優しくない?キレ兄ぃ。」 よくわからない。世界という造りが… 「俺たちは一度黙った人間。死んだ人間。死ぬはずだった俺たちを地獄から引きずり戻して此処に閉じ込めた。」 俺とキレ兄ぃ髪の色が混ざった髪を見て急に泣きたくなった 他のどうでもいい奴らは急いで帰る場所へと歩いていく。俺を無視して。 「なぁ、馬鹿だよなぁ、キレ兄ぃ。…ここで息をしているものたちが黙れば争うことなんてねぇのに。馬鹿な奴らが居なければ安定するのにな。」 寒い、寒い。痛い。 「あぁ、けど他の奴らから見た俺たちは馬鹿に入るよな。」 「人殺しっていう馬鹿に、ね」 握り締めていた手から血が出ていた。 その血を見ていたらキレ兄ぃの髪に似てると思った。 真っ赤な、濁った、離れていても目に付く奇麗な髪。 「血が出たよキレ兄ぃ。助けて、痛いよ、寒い。」 それを言っても意味はないと思った。 傷口から滴り落ちる赤い血 「あはは、じゃあ此処から離れれば良いだけか。そうだったそうだった。」 手の平の傷を見ながら、ポスターがあった壁から、何事もなかったかの様に、俺は歩く。 俺を、俺たちを地獄から引き戻した愛おしい奴らの元へ。 「キレ兄ぃ。俺は淋しいよ。時々無性に淋しくなるんだ。」 人通りが多くない所へ歩いて 「けど髪とか血を見ると落ち着くんだ。こんな俺は嫌いかな?気持ち悪いかな?」 ざわざわ賑わう人たちを見ながら。時々空を見ながらポツポツと喋る。 地面に血が落ちても気にしない。 「それはないか。どんな俺でもキレ兄ぃは受け入れてくれたし。」 歩いていたらいつの間にか街を出ていた。 俺はゆっくりと後ろを振り返る。 そこは雪が降っても活気づいてる街並み。 こんなものを見ると嫌でも悟ってしまう。 「ねぇ、キレ兄ぃ」 俺は今日一番の笑顔で 「黙ることはやっぱりできない」 ポケットから ボタン付の機械を出して 微笑みながら、押した。 カチリと高めの音が出る。 その数秒後 目の前にあった街が爆発音と共に壊れ始めた 「あっははははは!あはははは!」 キレ兄ぃ、俺は今どんな顔をしてるんだろうね。 幸せな顔をしてると嬉しいな。 髪に触れる。 俺は崩れてく街を笑いながら見届けた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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