一条の疑問
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舞踏祭の夜────

「…浅はかなことをしないように…」

「ん?」

「僕をしばりつけてほしい気分だよ…」

「……」

枢…僕は…君をしばりつけておくことができる鎖が、果たして存在するのか甚だ疑問だよ…







──あれから数週間、僕はずっと考えていた

だが、答えは見つからない

「枢をしばりつける…ねぇ」

「なにっ!?」

ボソッと呟いただけなのに、10m以上離れたところにいる藍堂が反応した
さすが夜間部一の枢ファン…

「一条っ!!お前、枢様をしばって何するつもりだ!?」

「僕は何もするつもりはないよ。そういう藍堂は何をするつもり?」

「っ!!そ…そんなの決まってるだろ!!」

へぇ…決まってるんだ…

「もし枢様をしばりつけたら──」

ピシピシッ

近くにあった窓に大きな亀裂がはしった

「藍堂…」

負のオーラを漂わせた枢がこちらにやってきた
顔は無表情だが、確実に怒っている
…というか殺気のようなものを感じる

「僕を…どうするって…?」

藍堂の血の気が引くのが、面白いくらいにわかる

「………いえ、何でもありません。枢様…」

「そう…」


…残念ながら、藍堂が枢に何をするつもりなのか聞けなかった

だが、藍堂のおかげで答えが出た
やっぱり…枢をしばりつけることができる鎖なんて───

「絶対に存在しないね…」













***あとがき***
今回は一条の気持ちを代弁してみたつもりです
対ヴァンパイア用の鎖なら枢様をしばれるかもしれない…と考えたんですが、やっぱりムリそうなので

藍堂はいったい何をするつもりだったのか……
それは皆さんのご想像にお任せします
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