名も無き銃に願いを
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パンッ――



弾けるような銃声にハッと我に帰れば、周りからは感嘆の声と共に小さな拍手がおこった。
夢から覚めた時のように、一瞬自分が何をしているのか分からなくて、状況を把握しようと優姫は辺りを見回した。
拍手を送っているのはクラスメート。
隣にいる沙頼も控え目に手を叩いていた。
一方、賞賛を受けているのは体育の授業でお馴染みの教師だ。
照れたように頭を掻く反対の手には銃。
今は生徒の方を向いているために背を向けているが、さっきまで対峙していただろう的のど真ん中には穴が空いている。
なるほど。



「先生、すごいわね」



ポツリとこぼした沙頼の言葉に、優姫は肯定するのを思わず躊躇った。
すごい…のだろうか?あれで…。



「優姫…?」



心配そうに覗き込まれたので、優姫は慌てて取り繕った。



「ごめん、すごいのかよく分かんなくて。やったことないし…さ」

「そうね。私もやったことないわ。銃を見るのも銃声を聴くのも初めてよ」



銃声ならいくらでも聴いたことがあるし、大銃を持ったこともある。
その上、一緒に使っている寮部屋の引き出しには小銃が仕舞ってある――なんて、とてもじゃないけど言えやしない。
何とも言えずに笑ってごまかす。



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