単純な幸せ
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「おいし〜」

「お前…本当に好きだよな…」



俺は向かいでプリンを嬉しそうに食べる優姫を眺めていた。
呆れたように発した言葉とは裏腹に、思わず緩んでしまう口元をコーヒーを飲んで誤魔化す。



「別にいいでしょ!好きなものが多い分だけ幸せも増えるんだから」



そう言って優姫はプリンをまた一口すくった。



「たかだかプリン1個で幸せか。随分お手軽だな」

「むっ。そんなことばっかり言ってないで零も幸せを見つける努力をしたらどうなの?」

「俺はお前みたいに単純じゃないんだ」

「なによー零のバカー」



いつものように優姫と小言を言い合う週末の昼下がり。
本当はそんな穏やかな時間に幸せを感じている…なんて優姫には絶対言わない。



「これ…やる」



そう言って俺の分のプリンを差し出せば嬉々として受け取る優姫。



(単純なやつ…)



そう思ったのだが。



「零ありがとう、大好き!」



笑顔でこんなことを言われた瞬間、ドキリと疼いたこの心臓。
…俺も案外単純なのかもしれない。



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