夏の終わりの悪夢
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「…ここ──どこ?」



辺りは真っ暗。
誰の気配も感じられない。
そんな空間に、気づけば1人で佇んでいたわけで。
私は慌てて周りを見まわした。
こんな所にわざわざ来た覚えはない。
混乱する頭で必死に記憶の糸をたぐり寄せていく。



(えっと…今は夏休みで──理事長と零と一緒に晩ご飯食べて──お風呂に入って──あっ!)



そうだった。
私は怖いもの見たさに深夜番組『都市伝説特集』を1人で視ていたのだ。
そして、そのまま眠ってしまったに違いない。



「なーんだ…じゃあこれは…夢?」



よく考えてみれば、辺りは真っ暗なのに自分の手足がはっきり見えるなんておかしい。
ボンヤリとした感覚は次第に確実なものへと変わり、自分は夢を見ているのだと確信した。
──しかし、たとえ夢だと分かっても自力で夢から抜け出すなんて不可能で。
私は暗闇の中にうずくまるようにして座った。



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