風紀委員の条件
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 * * * * * * *



「えーっと、君が影山くんだね?」

「はい!」



あの教師はちゃんと嘆願書を提出してくれたらしく、昼休みに早速理事長室に呼び出されたのだ。


目の前にはこの学園の最高責任者、黒主理事長が座っている。
常にトップレベルの成績を誇るとはいえ、影山も一生徒。
個人的に理事長と会うのはこれが初めてだ。



「嘆願書、読ませてもらったよ」



あれからまだ数時間しか経っていないのに、あのぶ厚い冊子をもう読んでしまったという。



(流石は理事長!仕事が速い)



「要するに──君はあの二人が風紀委員なのは納得できない、全校生徒から立候補者を募って新しい風紀委員に代えるべきだ、と言いたいんだね」

「その通りです」

「まぁ…君の言いたいことは分かる。けれど、これは無理な相談だね。風紀委員は、あの二人にしか任せられない」



理事長はためらうことなく、きっぱりと言い切った。
だが、もちろん影山はそんなことでは引き下がらない。



「何故ですか!?」

「うーん、何故って言われてもねぇ…。ま、そこは大人の事情ってことで☆」




さっきまでの真剣な表情はどこへやら。
理事長はすっかり茶化しモードに突入していた。



「そんなの納得できませ──」

「あぁっ大変だ!もうすぐ昼休みが終わってしまうね。ほらほら、教室に戻った戻った!」

「…っでも──!」



その時、まるで理事長に味方するかのように予鈴が鳴った。
次の授業まであと15分はあるのだが、あいにく次の授業は体育。



(まさか…この人、次の授業が体育だと知っててこの時間に呼び出したんじゃ…?)



一見、人当たりがよさそうな、のほほんとした理事長。さすがは親子!と言いたくなる程、彼が纏う空気は義娘の優姫と似ている。
しかし、その笑顔と雰囲気に騙されずによくよく見てみればチラリと見える鋭さ。
都合の悪い話をさっさと終わらせるためにそうしたと考えられないこともない。



「戻りなさい」



ニッコリと笑いながら言ったはずなのに、どことなく有無を言わさないような目。



「…失礼しました」



影山は渋々理事長室を後にした。


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