2/5ページ目 「…あれ?」 先客がいた。 月明かりを受けて淡く輝く銀色の髪。 遠目からでも誰だか分かる。 零だ。 (まったく、零はまたサボって──って私も人のこと言えないか) 木の根元に座り込んでいる零にそっと近寄る。 (寝てる…) 幹に背をもたれさせ、目を閉じたまま身じろぎひとつしない零。 「きれい…」 桜ではなく、零に向けて自然とこぼれた言葉。 そういえば零の寝顔を見るのは随分久しぶりだ。 零は授業中よく寝ているが、優姫自身も昼寝の常習犯。 おまけに寮に入って以来、零を起こしに行くことがなくなったからだ。 (あ…「きれい」なんて言ったら怒るかな?) 眉を潜めた零の嫌そうな顔を想像し、思わず笑ってしまう。 それでも起きる気配のない零。 「白雪姫みたい…」 調子に乗って更に零が嫌がりそうな言葉を発してみた。 けれど、白雪姫のようだと思ったのは決して嘘ではない。 いつもは軽口を叩く零が、今はこんなに儚げで弱々しくて…。 (雪のように解けてしまいそう) 静かに散っていく花びらも雪のようだった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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