1/6ページ目 一週間前── 夜遅くまで勉強していたのがいけなかったのだろう。 影山はその日、風邪をひいて授業を欠席した。 授業を休めばまわりに遅れをとる。 だから翌日には復活した……のだが、そんな病み上がりの彼に信じられない──否、信じたくない一言が。 「あっ委員長、来週は調理実習だってさ。で、委員長は黒主と同じ班な」 「なっ」 なんだってぇぇぇー!? 言葉を失う影山。 『調理実習』と『黒主優姫』 この二つが意味するもの── 即ちそれは"大惨事" 口をパクパクさせることしかできない彼に、憐れみを含んだ視線を寄こす生徒が数名見られる。 内部進学した生徒が多い黒主学園高等部。 したがって、中等部時代に優姫が調理実習で起こした悲劇の数々を知る者も多い。 「まあ…昨日休んでたんだから仕方がないよな。諦めろ」 僕としたことが…どうして昨日無理してでも登校しなかったんだろう!? 影山は後悔の念でいっぱいであった。 風邪をこじらせることなど、あの悲劇に巻き込まれることと比べれば何でもない。 ──しかし、最早後の祭。 はぁ… 仕方がない── 「…僕と黒主くん以外のメンバーは?」 影山は覚悟を決めると、調理実習で起こるであろう悲劇を防ぐべく、他の可哀想な犠牲者の名を尋ねた。 こうなったらみんなで協力してなんとかするしかない!! 委員長という責任ある役職に就いているだけあって、切り替えが速い。 ──しかし、更なる悲劇が影山を襲う。 「若葉と錐生」 「はっ…」 はいぃぃぃ!? あの一匹狼のサボり魔と一緒に料理をしろと!? 口をあんぐり開けて固まる影山に、そのクラスメイトは彼の心中を察し、同情の目を向けて一言。 「うん、まぁ頑張れよ…」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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