1/2ページ目 新学期にすること。 「影山霞です。黒主学園には初等部からいるので大抵の人は知っていると思いますが──」 そう。 自己紹介。 もちろん内部進学者同士、顔くらいなら分かる。 しかし全員の名前を知っているわけではないし、何より高等部から入ってきた人も少なくはないのだ。 教室を見渡せば知らない顔がちらほら。 ざっと見て10人くらいだろうか。 それぞれ新しい環境に戸惑っているような顔をしていた。 「──ということで一年間よろしくお願いします」 委員長の少し長めの自己紹介が終わった。 …いや、正しくはまだこのクラスの委員長ではないのだが、自己紹介の内容的からして今年もやるつもりらしいし、支障はないだろう。 「では、次の人」 その言葉に、沙頼も含めた内部進学者達は一斉に"次の人"に注目した。 こういう反応をするのは、決まって外部から来た人が自己紹介するときだ。 普通ならその視線に怖じ気づくのだが、"次の人"──零は全く違う反応を見せた。 めんどくさそうに立ち上がった。 …かと思えば。 「錐生零…」 それだけ言うと彼はさっさと座ってしまった。 今のは──。 緊張して名前しか言うことができなかったとか、自分を知ってもらうための言葉が思いつかなかった。 …なんて可愛いものではないということは、彼の発するオーラで分かることだった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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